手術当日から1週間までの食事スケジュールと注意点/術後1週間以降〜1ヶ月までに意識すべき食事の進め方
インプラント手術後の食事管理は、インプラント体の骨との結合を安定させるために極めて重要な要素です。とくに術後の初期段階では、患部への負担を極力減らすことが求められます。ここでは、術後の時期に応じた理想的な食事スケジュールと、その際に注意すべきポイントを詳しく解説します。
まず、手術直後から1週間までは「炎症抑制」と「粘膜保護」が最優先です。この段階では咀嚼を避け、スムージーやゼリー、ポタージュスープなどの流動食が基本になります。栄養が偏らないように、タンパク質やビタミンが含まれる飲食物を取り入れましょう。
術後0〜7日目の推奨食事例
| 時期 |
食事内容例 |
注意点 |
| 術後1〜2日目 |
スムージー、ゼリー、ポタージュスープ |
ぬるめの温度に調整し、ストローの使用は避ける |
| 術後3〜5日目 |
ヨーグルト、豆腐、茶碗蒸し |
よく冷ました状態で食べ、極力噛まずに飲み込める形状に |
| 術後6〜7日目 |
柔らかめのおかゆ、温めたプリン、マッシュポテト |
味付けは控えめにして、香辛料や塩分は控える |
特に注意したいのは、熱すぎるものや刺激の強い食品の摂取です。高温のスープやコーヒーなどは患部に熱刺激を与え、出血や腫れを引き起こす要因となります。また、スムージーなどを飲む際にも、ストローを使用すると口腔内の陰圧が高まり、縫合部に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
さらに、この時期は口腔内を常に清潔に保つことも欠かせません。食後はうがい薬や水でやさしく口をゆすぎ、食べかすや菌の繁殖を防ぐよう心がけましょう。歯ブラシの使用は避けるか、医師の指示があるまで患部を避けてごく優しく行うことが大切です。
術後1週間を過ぎ、出血や腫れが落ち着いてきた段階で、徐々にやわらかい固形物へと移行していきます。ただし、いきなり通常の食事に戻すのではなく、「箸で簡単に切れる」「舌でつぶせる」程度の柔らかさを目安に段階的に食事の形状を変化させていく必要があります。
術後8日目〜30日目の進行型食事ステップ例
| 時期 |
食事内容例 |
咀嚼・食べ方のポイント |
| 術後8〜14日目 |
雑炊、煮込みうどん、スクランブルエッグ、かぼちゃの煮物 |
両側で咀嚼せず、仮歯側を避けてゆっくり噛む |
| 術後15〜21日目 |
柔らかいハンバーグ、白身魚の煮付け、マッシュ野菜 |
食材の温度を常温に保ち、早食いや片側咀嚼を避ける |
| 術後22〜30日目 |
茶碗蒸し、豆腐ハンバーグ、温野菜とささみのスープ |
咀嚼回数を増やしてゆっくり食べる練習を始める |
この時期のメニューは「咀嚼の練習」にもつながる重要なフェーズです。ただし、咀嚼する部位を限定しないよう注意が必要で、片側だけで噛み続けると筋肉バランスが崩れ、顎関節に負担がかかる恐れがあります。可能な範囲で左右バランスよく咀嚼を行うように意識しましょう。
また、回復期の食事では栄養バランスもより意識的に整える必要があります。とくに、インプラントと骨の結合を促すためにタンパク質やカルシウム、ビタミンC、ビタミンDなどの栄養素を積極的に摂取することが推奨されます。
治癒を助ける主要栄養素と代表食材
| 栄養素 |
効果 |
推奨食材 |
| タンパク質 |
骨や歯茎、粘膜の再生を促進 |
鶏ささみ、卵、豆腐、白身魚 |
| ビタミンC |
傷の修復、コラーゲン合成に関与 |
ブロッコリー、パプリカ、じゃがいも |
| ビタミンD |
骨の石灰化促進、免疫調整 |
きのこ類、鮭、卵黄 |
| カルシウム |
骨や歯の形成に必要 |
牛乳、ヨーグルト、小松菜、いりごま |