インプラント治療には数多くのメリットが存在する一方で、リスクやデメリットも存在します。正しい知識を持ち、事前にリスク回避策を講じることで、安全な治療を受けることが可能です。
まず挙げられるデメリットは、手術を伴う点です。インプラント手術では外科的処置が必要なため、局所麻酔を使うとはいえ、身体に一定の負担がかかります。高血圧や糖尿病など全身疾患を持つ患者の場合、特別な注意が必要です。そのため、事前の診査(問診、血液検査、CT撮影など)をしっかり行い、適応かどうかを慎重に判断します。
次に費用面です。インプラント治療は自由診療となるため、保険適用外で高額になる傾向があります。目安として、1本あたり30万~50万円程度が一般的です。ただし、医院によっては分割払いが可能であったり、医療費控除の対象になる場合もあるため、事前に確認しておくことが重要です。
また、インプラント周囲炎というリスクも無視できません。これはインプラントを支える骨や歯肉に炎症が起きる病態で、進行するとインプラント脱落の危険性もあります。しかし、適切なブラッシングと定期メンテナンスを続けることで、発症リスクは大幅に抑えられます。
| リスク
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回避策
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| 手術時の合併症(神経損傷など)
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精密なCT診断とサージカルガイド活用
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| インプラント周囲炎
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毎日のセルフケアと定期的なプロケア
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| 費用負担
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事前見積もり取得と医療費控除活用
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| 骨吸収による失敗
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骨造成手術(GBR)や適切な術式選択
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これらのリスクをきちんと理解し、対策を講じることで、インプラント治療の成功率を高めることができます。
インプラントをやめた方がいいケースとは?
どんなに優れた治療法であっても、すべての患者に適しているわけではありません。インプラント治療にも不適応となるケースが存在します。ここでは、具体的に「やめた方がよいケース」とその理由を解説します。
まず、全身疾患を有する場合です。特に糖尿病(血糖コントロールが不良な場合)、重度の心臓疾患、骨粗鬆症などの持病がある方は、手術による合併症リスクが高くなります。血液循環が悪くなりやすいため、インプラントと骨の結合(オッセオインテグレーション)が不完全になるリスクも懸念されます。
次に、口腔内の状態です。重度の歯周病が未治療のままの場合や、十分な顎骨量が確保できない場合には、インプラントの固定が不安定になり、長期安定性が期待できません。このようなケースでは、まず歯周病治療や骨造成手術(GBR・サイナスリフトなど)を優先する必要があります。
老後の問題にも触れておきましょう。インプラントは長期維持が可能な反面、メンテナンスを怠ると老後にトラブルを抱える可能性があります。たとえば、介護が必要な状況になった際、十分な口腔ケアが難しくなるとインプラント周囲炎のリスクが高まります。そのため、インプラント治療を検討する際には、将来的なライフプランまで考慮するべきです。
インプラントをやめた方がよい代表例
- 血糖コントロールが不良な糖尿病患者
- 骨粗鬆症治療中で骨質が極端に低下している人
- 口腔衛生習慣に問題がある人
- 顎骨量が極端に少なく骨造成手術も難しいケース
- 将来的にメンテナンスが困難になる可能性が高い高齢者